バイラルマーケティングという言葉を聞いた事があるでしょうか?SNSやYouTubeでコンテンツが拡散していく手法という漠然としたイメージをお持ちかもしれません。

本稿では、バイラルマーケティングの基本や知っておきたいポイントなどをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

Contents

コンテンツサマリー

バイラルマーケティングとは、インターネットを中心に口コミなどにより、消費者に拡散を誘導する手法のことです。

バイラルとは、ウィルス(Virus)の派生語であり、ウィルスのように拡散していくマーケティング手法という意味からこのように呼ばれ、このバイラル性には、口コミや投稿によるバイラル性と、招待プログラムなどのインストルメンテッド・バイラリティというものがあります。

バイラルマーケティングのメリットは下記です。

  • コストがかからない
  • 多くの潜在顧客にリーチできる可能性がある

一方、企業側がコントロールできない部分があるため、ブランドイメージを下げる可能性があるというデメリットもあります。

また、バイラル・マーケティングはあらゆるものに適用できるわけではありません。バイラルマーケティングを行うには、下記の条件を適用している必要があります。

  • アハ・モーメントがあること
  • ユーザーを深く理解できている
  • 刺さるメッセージがある
  • チャネルの特徴を理解し絞り込めている

アハ・モーメントとは、ユーザーがプロダクトやサービスの価値や有用性を最大限に感じる瞬間のことです。アハ・モーメントがあることで、他の人におすすめしたり、「SNSでシェア」するというオファーにも反応する可能性が高まります。

質の高いバイラル・マーケティングを行なうためのポイントは下記です。

  • 地道な検証と改善を行う
  • 分散的なチャネル施策を行わない
  • AARRRフローを意識する
  • ブランディングからプロダクトまで取り組む

バイラルマーケティングとは?

バイラル・マーケティングとは、インターネットを中心に、口コミなどによって消費者に拡散を誘導する手法のことです。面白いと思った動画やコンテンツ、良いと思ったプロダクトについて、つい人におすすめしたくなったり、教えてしまいたくなるという人の心理を利用したものです。

バイラル(Viral)とは?

そもそもバイラル(Viral)とは、Virus(ウィルス)の派生語であり、「ウィルス性の、ウィルスの」という意味です。

ここからバイラル・マーケティングは、「ウィルスのように拡散してくマーケティング手法」という意味で使われるようになりました。

バズ・インフルエンサーマーケティングとの違い

バイラルマーケティングとよく間違われる手法として、バズ、インフルエンサーマーケティングがあります。

バイラル・マーケティングもバズ、インフルエンサーマーケティングもどちらも口コミを活用することで、プロダクトやサービスの売上アップを狙うという意味合いでは非常に似ています。

しかし手法が大きく異なります。

バイラルマーケティングは、企業が魅力的なコンテンツを制作したり、口コミを拡散する仕組みづくりを行ない、消費者が拡散するのを静観することが多いです。

それに対して、バズ、インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーを活用したり、自社で情報を発信したり、口コミを拡散するという行動自体にコミットし、積極的に拡散されるための施策を行います。

バイラルマーケティングは、コンテンツ、仕組みづくりに重点をおいているのに対して、バズ・インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーなど情報を拡散させるための施策に重点を置きます。

このように大きな括りとしては似通っていますが、実際の施策、運用が大きく異なります。

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バイラル性は二種類に分解できる

拡散していく時のバイラル性は、口コミや投稿によるバイラル性と、インストルメンテッド・バイラリティの2種類に分けられます。

口コミや投稿

口コミや投稿とは、FacebookやTwitterなどのSNSをはじめとして、消費者が実際にプロダクトを使ってみた感想やコンテンツへの感想などの投稿によるバイラル性です。

インストルメンテッド・バイラリティ(編曲されたバイラル性)

インストルメンテッド・バイラリティとは、招待プログラムなどプロダクトやサービスにあらかじめ仕込まれている機能を活用したバイラル性です。

具体的には、ECサイトなどで取り入れられている記事や商品を「友だちに勧める」機能などのことです。

このように、あらかじめ仕組みを用意しておき、バイラルを生み出す方法もあります。

バイラルマーケティングのメリット

バイラルマーケティングのメリットとは何でしょうか。

コストがかからない

1点目はコストがかからないということです。

バイラルマーケティングにおいて重要な部分は消費者が担います。企業側は広告出稿をしたり、広告枠を買う必要がなくなるためコストを抑えることが出来ます。

多くの潜在顧客にリーチできる可能性がある

2点目は、多くの潜在顧客にリーチできる可能性があるということです。

広告を活用して多くのユーザーに接触しようとすると膨大な費用がかかります。

しかし、コンテンツが拡散すれば、費用をそこまでかけなくても多くの潜在顧客にリーチできたり、予測していない顧客にリーチできる可能性があります。

バイラルマーケティングのデメリット

一方バイラル・マーケティングにはデメリットもあります。

ブランドイメージを下げる可能性がある

ご説明してきたようにバイラルマーケティングは、消費者自身に拡散してもらうことを狙うため、企業側でのコントロールが難しいという側面があります。

そのため、企業が狙ったような効果ではなく、逆にブランドイメージを下げてしまう可能性があります。

例えば、アメリカのGAPは2019年のアメリカ大統領選の際に、「民主党と共和党は協力して前に進もう」という投稿をTwitterにてしました。

しかし、アメリカの政治的な溝はそんなに簡単に埋まるものではありません。

その結果、逆に大きく批判を受け、GAPはブランドイメージを下げてしまい、最終的にはTweetを削除することになりました。

このようにバイラルマーケティングでは、コントロールできない要素も多くあり逆効果になる場合もあります。

バイラルマーケティングを行う前に満たすべき条件

バイラル・マーケティングはどのようなコンテンツでも適用できるわけではありません。まず、バイラルマーケティングを行う前に満たしておくべき条件があります。

「アハ・モーメント」があること

1点目は、プロダクトやサービスに「アハ・モーメント」があることです。

アハ・モーメントとは、ユーザーがプロダクトやサービスの価値や有用性を最大限に感じる瞬間のことです。

言い換えると、実際にプロダクトやサービスを使用する際に、ユーザーがこの商品は絶対に必要だなどバリューを感じる瞬間のことです。このようなアハ・モーメントがあることで他の人におすすめしようと思ったり、「SNSでシェア」のようなオファーにも反応する可能性が高くなります。

また、中身を気に入ってもらえるなら見た目で騙すという手段もあります。どんなにインセンティブなどでユーザーを集めたとしても中身を気に入ってもらえなければシェアもされません。

つまり、バイラルを目指すためには広告などの見た目だけでなく、プロダクトやサービスの中身とのバランスが重要です。

アハモーメントを作っておき、サービスをバイラルに拡散する

ユーザーを深く理解できている

2点目は、ユーザーの理解が深く出来ていることです。

上述したようにバイラルマーケティングではユーザーが大きな要素を担います。

そのため、ユーザーの間で今何がトレンドなのか、興味を示すであろうコンテンツを理解している事がバイラルマーケティングの成否を決めます。

刺さるメッセージがある

3点目は、刺さるメッセージがあることです。

広告、記事、レビュー、SNSの投稿などどのようなチャネルでどんなタイミングで潜在顧客と接触したとしてもユーザーの欲求やニーズに答えられるメッセージが必要です。

メッセージは、プロダクトやサービスの特徴を簡潔に伝えられ、利用したらどうなるのかという疑問に答えるものです。

この際重要なのは、企業側が伝えたい内容を一方的に発信するのではなく、「受取手」であるユーザーに伝わるメッセージに最適化することが重要です。

チャネルの特徴を理解し、絞り込めている

チャネルの特性を理解し、ユーザーともっとも親和性の高いものを選ぼう

4点目はチャネルの特徴を理解していることです。

多くの場合、バイラルマーケティングの施策ではSNSを活用しますが、その際にどのユーザーの行動がSNSチャネルやメディアとの親和性が高いかを理解しておく必要があります。

例えば、新規で立ち上げたアパレルブランドの場合、ブランド名やデザイナー名を知っている人も少ないため、Google検索する人も少ないです。そのためリスティングなどの有料広告を行ったとしても成果が悪くなります。

一方、Instagramでハッシュタグを用いた投稿やYouTuberとのコラボ動画などで新規顧客への認知拡大に努めると効果が高いことが期待できます。

このようにチャネルの特徴を理解することが重要です。特にバイラル・マーケティングで活用できるチャネルは下記です。

・SNS
・友達紹介プログラム
・オンライン動画
・プレゼント・景品
・クラウドファンディング

プロダクト/サービスをシェアする動機付けが重要

バイラルマーケティングで重要なポイントの1つが動機付けです。

動機付けはコンテンツやプロダクト、サービスのアハ・モーメントなどありますが、もしシェアする動機がない場合は、インセンティブを用意する必要があります。

この際のインセンティブはどんなものでもいいわけではなく、プロダクトやサービスのコアバリューに即したインセンティブであることが重要です。

Dropboxの事例

Dropboxでは、コアバリューにあったインセンティブを提供して大きな成功をしました。Dropboxのプロダクトのバリューはファイル共有とクラウドの保存です。

利用者が増加すれば、ファイルの共有先が増え、ユーザーは利用度合いが高まると、より多くのデータを保存することになります。

そのためヘビーユーザーほどより多くのストレージを求めます。Dropboxは、友達招待のインセンティブとしてストレージの無料追加と設定しました。その結果、多くのユーザーが友達招待を行い、ユーザー数を大きく伸ばしました。

Airbnbの事例

一方、金銭をインセンティブにするケースもあります。Airbnbは、招待した友達がAirbnbで宿泊予約をすると招待側と招待された側にクーポンが配布されます。このようにサービスの利用を促進するために金銭をインセンティブに用いることもあります。

【応用】バイラル性の算出方法

バイラル性は下記の計算式で算出することが出来ます。

バイラル性=ペイロード×CVR×頻度
  • ペイロード:各ユーザーがプロモーションを一度に送信する相手数
  • CVR:招待を受け入れたコンバージョン率
  • 頻度:招待を受け取る頻度

この計算式はSNSのバイラル施策の場合は、SNSはペイロードの計測が困難なため不向きですが、メールやメッセージアプリを用いた紹介プログラムのバイラル性を計測するには向いております。

よくあるバイラルマーケティングの間違い

バイラルマーケティングを行なう上での間違いとして、強力なインセンティブのみが大切と思ってしまうケースです。

強力なインセンティブのみが大切であると考えてしまう

上述したとおり、バイラルを行なう上で広告などの施策だけでなく、プロダクトやサービスの中身、クオリティが重要です。

プロダクトやサービスの中身がなければいくらインセンティブを強力にしてもバイラルになりません。

またインセンティブを設定する上でただ強力なインセンティブを用意すればいいわけではありません。

インセンティブがプロダクトのコアバリューに適しているか、プロダクト・インセンティブ・フィットを検討する必要があります。

質の高いバイラル性を構築する5つのポイント

質の高いバイラル性を構築するためにはどうすればいいのでしょうか。そのための5つのポイントをご紹介します。

地道な検証と改善を行う

質の高いバイラル性を構築するためにはユーザーが求めているのや、トレンドの検証を地道に行う必要があります。

また、施策を実施したあとも効果測定を行ないながら、常に改善し続けることが重要です。

分散的なチャネル施策は行わないこと

チャネルを検討する際に様々なチャネルを開拓し、より多くのチャネルを活用することがいいと思われがちです。

しかし、多くのチャネルに手を出すとリソースが分散してしまうため、効果の大きなチャネルにリソースを投下できなくなってしまいます。

Google の創設者Larry Pageも「lets put more wood behind fewer arrows」という名言を残しているように、リソースを集中することが重要です。

AARRRのフロー意識する

AARRRモデルとはサービスの成長段階を表すモデルであり、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の頭文字からきています。

AARRRは、グロースハックで最も重要なフレームワーク

Rの一つReferralは、バイラルマーケティングに近く、グロースハック的なアプローチを意識するようにしましょう。

AAARRモデルやグロースハックについて詳しく知りたい方はこちらもぜひ読んでください。

ブランディングからプロダクトまで取り組む

施策は一度実行したらそれで終わりではありません。

結果に繋がらなければ、課題を検討し、改善や調整することが重要です。その際、施策だけでなくブランディングやプロダクトの改善までに取り組むことを意識しましょう。

P&Gの商品にファブリーズという商品があります。当時アメリカではスプレーするだけで匂いを覆い隠すのではなく、消してしまう商品はありませんでした。

そのためCMでも「匂いとはさよなら」というメッセージでコミュニケーションを行いました。

しかし、売上にはつながりませんでした。

そこで調査を行うと、消費者は掃除を仕上げにいい香りづけをしたいという目的で従来の商品を利用しており、「匂いを消す」というのは求められている使い方ではなかったのです。

そこで商品に改善を行い、新しく芳香剤を添加しました。また、CMにも女性が香りを楽しんでいる様子を映したその結果、売上は大きく回復しました。このように施策の改善だけでなく、プロダクトやブランディングの改善までも意識しましょう。

シェアや招待がユーザー体験と一体化している

シェアや招待が押し付けではなく、働きかけになるためにはできるだけそれがブランドやプロダクトを利用しているユーザー体験と一貫していることがおすすめです。

ユーザー体験との境界線を持たせないことで、抵抗なくユーザーが対応することが出来ます。

バイラルマーケティングの成功事例

それでは最後にバイラルマーケティングの成功事例をご紹介します。

The New York Times-フェイクニュースとの戦い

The New York Timesは世界的にも有名な報道機関ですが、バイラルマーケティングで大きく購読者数を増やしました。

2016年はフェイクニュースが大きな問題になった年でした。

「ローマ法王がトランプ大統領を支持した」といったものから始まり、銃撃事件にまで拡大するピザゲート事件などフェイクニュースへの関心が高まっておりました。続く2017年も、フェイクニュースとの戦いと発表するなど報道機関にとっては厳しい年と言われていました。

New York Timesはそのような状況下で、「The truth is hard」というメッセージのCMをアカデミー賞受賞式の放送中に放映し、話題になりました。

最初はTVCMだけでしたが、SNSでもキャンペーンを実施しました。結果、ニューヨーク・タイムズは、1四半期で購読者が過去最高の28万人になりました。

P&G-“Like a Girl”

P&Gのキャンペーンで大きくバイラルになったのが「Like a Girl」キャンペーンです。このキャンペーンでは、20代の女性や少年に女の子のように走ってみて、戦ってみると内股に走ったり、へっぴり腰でパンチするなど世の中的に女の子のイメージの仕草を真似します。

しかし、実際の女の子に同じことを聞いてみると、足を上げ勢いよく走ったり、力強くパンチしたりイメージとは全く異なる姿を見せます。

幼い女の子には世の中のイメージを押し付けられ、自分らしく生きられないという問題があります。

このような状況を変え、他人を気にせずに素のままのあなたに価値があるというメッセージを発信し、多くの人に影響を与えました。

DSC-2,400万回以上再生されたYouTube動画

DSCとはDollar Shave clubのことでありカミソリの刃のサブスクリプションサービスとして大きく注目され、ユニリーバに1,000億円で買収されたサービスです。

ビジネスモデルを含め多くの点で注目されたが特にバイラルしたのが2,400万回以上再生されたYouTubeのプロモーション動画です。

この動画大きく成功した理由には大きく3点、既存企業には出来ないYouTubeだけでの配信、既存企業には出来ないメッセージング、既存企業への批判です。

従来の剃刀市場は、GilletteやSchickが2強として存在しており、小売業者を中心の販売、TVCM中心で常に剃った後の爽快感や替刃の数などを強みとして訴求していました。

このように、代わり映えがしない剃刀市場に大きな刺激を与えたのがDLCの動画です。DLCは、プロモーション動画をYouTubeにアップロードしました。

プロモーション動画では普段消費者が思っていた「カミソリって高すぎない?」や「何枚刃も必要なのか?」という疑問や意見をそのままメッセージにし、1ドルだけで買えるという衝撃的なサービスを発表します。

従来の企業が出来ないメッセージングや、TVを使わないYouTubeのみでの配信というように、既存企業が取れない手法を選択し、注目を集めました。

アメリカで大流行したミーム-“Woman yelling at a cat”

ミームとはインターネットの掲示板やSNSなどで使われるネタのことです。

アメリカで大流行したミームに“Woman yelling at a cat”があります。

これは、The Real Housewives of Beverly Hillsの1シーンで女性が激怒している写真と食卓に座らされて困惑している画像の組み合わせでした。

もともとは全く別の画像ですが、Twitterで「この画像の組み合わせが面白すぎる」とつぶやかれ、リツィートなどで拡散していきました。

その後、テンプレート化され、様々なシーンに置き換えて使われたり、動画になったり、パロディー化などがされました。

無印良品-プレゼント企画

国内の事例としては無印良品が口コミキャンペーンを行い、売上を大きく伸ばしました。

このキャンペーンは有楽町店10周年を記念して「無印といえば〇〇」と投稿すると10%オフになるというものでした。

その結果、店頭には来るが購買しない層を刺激することとなり、売上が通常の倍になったとのことです。

また、その後もSNSを活用したキャンペーンを定期的に行っています。

キャンペーンを定期的に行なうことで、今年もキャンペーンが実施されそうだから他の店舗でなく無印で購入しようという忠誠心を高めることができます。

画音-5G時代の新ビデオメッセージツール

バイラル性を意識して設計した新しいサービスに中国の画音があります。

画音は、文字ではなくビデオメッセージという手法でコミュニケーションを取るアプリであり、WeChatの育て親と言われるGenie氏がリリースしました。

従来のカメラアプリで撮影した動画ファイルを送受信するものではありません。

アプリの録画ボタンを押したら録画が始まり、文字や絵文字を簡単に加えられたり、ビデオメッセージの受信者も動画を見ながら返信ができます。

今後5Gにより動画の送受信がスムーズになる中で新たなツールとして注目されています。

画音の特徴は、アプリが友達が4人以上いないと使えないということです。

これにより強制的なバイラルを起こし、予算をかけずに広がっていく仕組みを形成しています。

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