デザインは特定の問題を解決するのに役立つ必要がありますー通常はビジネスとして、そして、私たちはそのことにもっと気付き、考える必要があります。

ブランド戦略は、デザインによるビジネスの成果をより効率的に結びつける方法の一つです。

もし、デザイナーとして、完璧なデザインをクライアントに却下され、やり直しと言われたら、あなたは地獄から来たクライアントに出会ったことになるかもしれません。

また、クライアントとして、名刺のようなシンプルなものに小さな修正を依頼する必要があった場合、Macで簡単に作業をするだけの人を雇ってしまうかもしれません。

いずれにせよ、どちらの場合も、より戦略的なアプローチを考える必要があります。

その前に、私が戦略的ブランドデザインの世界に入った経緯を簡単にご紹介します。

ブランド戦略に気づくまで

私は自分のことを平均的なデザイナーだと思っていますが、戦略的でクリエイティブな思考力は平均以上だと感じています。

90年代初頭にロゴを初めてデザインして以来、私はクライアントに深い質問をするようにしてきました。

ロゴが、彼らのブランドとユニークな個性を体現するように作りたかったからです。

私は、もしブランドが人であった場合、「顧客にあなたのブランドについて、どのような印象を抱き、どのように説明して欲しいか」と尋ねてきました。

どのような人気映画キャラクターになるのか、と尋ねたこともあります。

何となく、私は直感的に、人はビジネスよりも、人と人との結びつきとしての方が強く印象に残ることを感じていました。

だから、ブランドをなんとか擬人化することができれば、もしかしたらもっと簡単に集客できるかもしれない。

このような戦略的思考を、ロゴであれ、アニメーションであれ、ポスターであれ、ウェブサイトであれ、どんなデザインプロジェクトにも応用するようにしていました。

ブランディングの全貌

フリーランスのデザイナーとして数年間、ロゴや印刷用のラベルを作成した後、約10年間、オンラインの顧客体験のデザインに挑戦してきました。

クライアントから「ウェブサイトを作って欲しいだけ」と言われても、ブランドの本質を込める必要があると熱く語っていたのを覚えています。

それでも、何の合理的な説明もなく、クライアントに色やフォントの選択を指示してしまうことが多々ありました。

広告代理店に移行してからは、ブランディングがビジネスのあらゆる面で大きな役割を果たし、それがデザインやマーケティングの意思決定にどのような影響を与えるのかを十分に理解し始めました。

また、明確なブランド戦略を持たないことが何を意味するのかも理解していましたが、20~30年前はそんなことはなく、当時は、“build it and they will come”(一旦作ってしまえばなんとかなる)という考え方に頼っていました。

マーティ・ノイマイヤーは、彼の著書『The Brand Flip』の中で、マス向けのビジネスから、ブランドを形成している一人一人の顧客へ、どのようにブランドという力がシフトするかついて解説しているのにもかかわらず。

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ブランド戦略はどのようにしてこれらすべてに当てはまるのでしょうか?

ブランド戦略は業界の流行語となり、他のフリーランスのデザイナーや代理店が10,000ドル規模の予算を施策として投下しています。

そして、そこからくる失敗もよくあります。

通常、それはあなたのこれまでのロゴデザインプロジェクトと比較してより高い予算を投下しているため、魅力的なものが作られることでしょう。

しかし多くの場合、それは顧客に発生する価値観の変遷が考慮されていないのです。

実際には、ブランド戦略とは、「きれいなものをデザインする」ことから脱却し、「ビジネスの全体像を見てみよう」と試みることを意味します。

そのビジネスは何をしているのか、なぜやるのか、他と何が違うのか、顧客が他の製品よりもあなたの製品を選ぶ理由は何か、などの問いかけが戦略的思考の基本です。

ブランディングは、ロゴやウェブサイトだけではなく、ビジネスのために存在する顧客との接点全てにできます。

顧客サービスのやり取りや会社のレビューなども含めて、顧客がビジネスとの接点で抱く認識やイメージとなるのです。

そこでブランド構築としてできることは、ブランド戦略を通じてこれらの認識を形にし、顧客のニーズに沿ったものにすることです。

ブランド戦略を実行する方法

戦略的ブランドプロセスの魅力は、深く問い続けることにより、ビジネスにおける戦略の「思い込み」を無くし、真の問題を明らかにできる点です。

そのため、クライアントからロゴやウェブサイトを依頼されたとき、最初にすべきことは、なぜこの依頼がビジネス上の挑戦を実現し得るのかを明らかにすることになります。

  • あなたのビジネスのために、実現したい具体的な目標はありますか?
  • このプロジェクトとあなたのビジネス全体のビジョンについて教えてください。
  • どのようなターゲティングをしているのか、顧客のどのような課題を解決するための支援をしていくのか。
  • 顧客は何を大切にしているのか、他にどのような要素が購買決定の原動力になっているのか?
  • この成果物で顧客に何を伝えたいのか?
  • このプロジェクトの成功をどのように定義し、測定するのか?

医者や歯医者に診てもらうときのことを思い出してください。

医者や歯医者は、あなたの状態について質問し、症状、可能性のある原因、および詳細な検査をし、治療のために最善の方法を明らかにしようとします。

この好奇心に満ちた調査のおかげで、私たちは、市販の風邪薬ですべての病を治療するのではなく、医者や歯医者が専門性の高い問題を解決してくれると考えるようになります。

もちろん、ブランド戦略はこれら以上に深い質問を必要とします。

しかし、このような最初の会話でさえも、クライアントとデザイナーの間の信頼関係を高めてくれます。

また、より戦略的なアプローチを実現するため、ブランドバリュー、ブランドパーソナリティ、顧客ニーズ、確固たるブランドポジショニングなど、より広く議論を展開することも大切になります。

これらに分解されたブランドの構成要素はすべて、今後のブランディング活動の方向性を示す指針の役割を果たします。

これにより、デザイナーとクライアントの双方にとって、デザインの決定と検証が容易になります。

ブランド戦略の実践

堅実なブランド戦略を用いると、隠された宝にたどり着くまでの正確な手順が書かれた、完璧なロードマップを描いたような気分になれるかもしれません。

あるいは、暗闇の中で何かを狙おうとするのではなく、確実に的を射るブルズアイターゲットを掲げているような感覚です。

このようなブランドの明確なロードマップ、戦略的な方向性が明確になったら、ロゴやウェブサイトなど、ビジュアルの成果物について考え始めることができます。

私たちが作成するすべての成果物は、それ以前の細かい検討の部分から始まり、すべてのデザインは戦略によって導かれるのです。

これらはデザインに対する主観的な解釈ではなく、会社のブランドやビジュアルが伝えたいブランドストーリーに沿っているか、伝えられるかどうかという事実なのです。

まとめと事例の紹介

最後に、ブランド戦略がウェブサイトのデザイン決定にどのように役立つか、実践例も用いて考えてみましょう。

slackより

Slackの主要なブランド価値は「共感」と「遊び心」[1]ですが、遊び心のある鮮やかなカラースキームや、包容力のある魅力的なイメージを通して、それをどのように表現しているかを感じることができます。

次回、あなたが配色や画像スタイルを選ぶときには、自分の選択すした色や画像が、自社のコアブランドの価値観に合致しているかどうかを自問自答してみるといいでしょう。

Airbnbより

Airbnbは、包括的で刺激的な言葉を使い、イメージやイラストを工夫することで、顧客のニーズである「帰る場所があること」や「コミュニティ」[2]につながる素晴らしい成果をあげています。

Airbnbのアイコンは親しみやすく、魅力的で、暖かさと帰属意識を感じさせてくれるほか、ウェブサイトにおけるすべてのUIの要素を慎重に検討し、顧客の心に響くようにコミュニケーションが取れるようにしています。

Virginより

Virginは、ターゲット層の共感を得るための最適なアピール方法[3]をよく知っています。

それは、活気に満ちた大胆な個性、フォント、言語を通してそれを映し出すことで、原動力があり、現代的でエネルギッシュである理想的な顧客と一致しています。

レイアウト、コントラスト、フォントの選択などを考えるとき、あなたが定義したブランドのペルソナと、最適なコミュニケーションができるかを検討するといいでしょう。

ブランドの戦略家でなくても、より戦略的にデザインにアプローチできること、それは必然的に、より良い、より関連性のある、価値のある作品を生み出せることを忘れないでください。


コンテンツ提供:Ilya Lobanov

デザイン会社へ勤務したのち、フリーランスとして独立。現在はStudeo inc. を創業し、クリエイティブディレクターを兼務。Instagramはこちら

原文:Why Brand Strategy Matters More Than Ever, Even Online


[1]…Careers Slack
[2]…Careers at Airbnb
[3]…Our story | Virgin