今回は海外MaaS(Mobile as a Service)×IoTの国内活用事例を紹介致します。
現在世界中でMaaS(Mobile as a Service)の開発が進められています。地上では無人の自動運転車の実用実験の段階まで進んでおり、人・モノの移動の概念が変わろうとうしています。
しかもこの進化は地上だけに留まりません。自動運転の空飛ぶタクシーなど、まさに私達の想像の世界だけで成立していた未来の移動のカタチが現実となろうとしています。
モビリティの分野の進化は利便性の飛躍的な向上と共に、私達一人ひとりの新たな移動体験により社会のカタチを変える可能性もあります。これまで、移動はこういう手段と認識していた以上のカタチ、想像を超えるカタチが実現しつつあります。
本記事のMaaSの海外事例をご覧いただきモビリティの未来の形を思い描いていただければと思います。
自動運転分野の前進により車載用半導体の世界市場は2030年に586億ドル規模へ拡大
民間調査会社の株式会社矢野経済研究所が2020年4月6日に、車載用半導体の世界市場に関して、2030年における車載用半導体の世界市場が586億1000万ドルまで拡大するという予測を発表しています。
2018年の車載用半導体の世界市場の規模が310億9000万ドルですので、2030年の車載半導体の世界市場は2018年比で88.5%増と非常に大きな成長の見通しとなります。
どうしてこれだけの市場規模拡大が予測されるのかとして、「ADAS/AD(先進運転支援システム/自動運転)」「xEV(次世代電動車)」「コネクテッドカー」の分野が今後大きく躍進することが挙げられています。
特に、先進運転支援システムと自動運転の分野は世界中の自動車メーカーが技術躍進を競い合う主戦場となっており、従来型の私達が自ら運転操作を行う自動車の割合が徐々に減少し、自動運転の機能を有した車両が増えていくことが予測されます。
自動運転車には自動運転操作を行い走行中の出来事を機械学習する高機能なAIの搭載が必須となります。自動運転車の普及により車載用の半導体を搭載する車両が増加するという図式になります。
また、車載用半導体の市場規模増大は自動運転システム搭載の自動車の販売台数と相関関係があり、先進運転支援システムまたは自動運転を搭載した自動車の台数は、2030年には全世界で約8390万台に達するという予測もあります。
移動分野における注目市場というと中国が真っ先に挙げられます。既に自動運転車による輸送などのニュースも入ってきています。2030年の中国国内のADAS/AD市場は2019年比約7.2倍の1兆8371億円規模と予測されており、今後の自動運転分野の最重要市場と言えます。
ユニコーン企業のランキング発表 自動運転分野におけるランク入り企業は
米国でスタートアップ企業やベンチャーキャピタルの最新動向を調査、コンサルティングも手掛ける米CBインサイツが、2020年2月時点におけるユニコーン企業のランキングリストを公開しました。
ユニコーンは創業してからの年数が概ね10年以内で、企業評価額が10億ドル以上の未上場企業を指します。企業評価額は企業の技術や資産を評価する指標ですが、スタートアップ企業においては特に技術に対する期待度を示す最も重要な評価と言えます。
今回はユニコーン企業時価総額にランキング入りした自動運転分野の企業3社を紹介いたします。
Didi Chuxing(滴滴出行):560億ドル(約6兆円/2位)
中国のDidi Chuxingはライドシェアサービスを提供する有望企業です。自動運転分野におけるユニコーン企業の第1位に位置しています。ソフトバンクグループや米アップルなどが投資していることも広く知られており、後述する自動車運転分野ユニコーン第2位のEpic Gamesの3倍以上の評価額となっています。
ライドシェア事業と共に自動運転開発も積極的に進めており、北京・上海・蘇州・米カリフォルニアなどワールドワイドで公道試験ライセンスを取得し、各地で実用実証を行っています。
Epic Games(エピック ゲームス):150億ドル(約1兆6100億円/8位)
ゲームエンジン「Unreal Engine」で知られるアメリカのゲーム開発企業のEpic Gamesも、豊富なノウハウで積極的に自動運転領域への進出を図っています。「Unreal Engine」は1998年に実装されて以来、現在はヴァージョン4がリリースされており、非常にパワフルな3D制作プラットフォームとして存在感を示しています。
ゲームエンジンと聞くとエンターテインメント分野のテクノロジーを想像しますが、自動運転のシミュレーションに活用可能であることも広く知られおり、3Dのヴァーチャル空間をリアルタイムで構築しやすい「Unreal Engine」は、更に拡張性を獲得する可能性があります。
日本国内でも自動車部品メーカー世界トップのデンソーが「Unreal Engine」を活用するなど、多くの企業がEpic Gamesの技術を採用しています。
Grab(グラブ):143億ドル(約1兆5400億円/10位)
東南アジア8カ国で配車サービスなどを展開しているライドシェア事業のGrabが全体の10位、にランク入りしています。東南アジアのライドシェア事業者として圧倒的な知名度を誇るGrabは、上述のDidi Chuxingと同じく、ソフトバンクグループなどから多額の出資を受けているほか、Didi Chuxingからも3億5000万ドルの資金を調達しています。
資金面でも大きなバックアップを受けているGrabは今後の事業拡大が強く期待される企業です。
トヨタ自動車とGrabは、2017年、東南アジアの配車サービス事業で協業を開始し、Grabのドライバー向けレンタカーにトヨタ自動車開発の通信端末「TransLog」を搭載、走行データを活用したコネクティッドサービスを進めています。
更に、2018年には、トヨタ自動車と東南アジアにおけるMaaS領域の協業に合意し10億ドルの出資を受けています。2020年には三菱UFJフィナンシャル・グループなどから更に多額の出資を獲得しており、今後さらに上位にランクインする可能性があります。
中国JD(京東) 武漢市内で自動運転車を用い新型コロナウイルス感染症の医薬品を配送
中国の e コマース大手 JD.com(京東)は、猛威を振るう新型コロナウイルス感染症のパンデミックの震源地である中国中央部の武漢で、自動運転車を活用し医療品の配送をおこないました。
人と人との接触・密接による感染リスクに対し、自動運転でドライバーも必要としないというアプローチは非常に効果的です。今後、医薬品に限定せずフードデリバリや宅配便、街路清掃など様々なシーンで活用される可能性があります。
今回の自動配送では、仁和の配送ステーションから武漢第9病院までの600メートル配送したということです。今後、更に長距離の輸送や更に大量の物資を自動運転で運ぶことが期待されます。
新型コロナウイルス感染症の拡大対策として「Stay home」のモットーの元、極力自宅から外出せずに接触を避けることが推奨されていますが、社会サービスに関わる従事者においては、社会の機能維持のために仕事をやむを得ず続ける必要がある場合も多くあります。
当然のことながら、結果として感染リスクが高まりますので、自動運転車を活用する事で医療品の輸送ではなくとも、感染拡大の防止や医療現場の負荷減少に貢献する可能性が多分にあります。
こうした有事の対策としてのアプローチがその後、より進化して私達の日常に浸透するケースが非常に多く、今後の自動運転車の普及が期待されます。
Wisk 自動運転の空飛ぶタクシーの試験実施へ eVTOL輸送試験でニュージーランド政府と覚書締結
航空大手のボーイング社などが支援するWiskは電動垂直離発着機(eVTOL)を用いた輸送試験に関する覚書をニュージーランドで締結しました。この試験では、Wiskの2人乗りの自動運転の空飛ぶタクシー「Cora」です。
「Cora」は12個の電動ローターで垂直に離発着可能、最高速度は時速160キロ、航続可能距離は40kmとなっており、垂直離発着により滑走路を必要としないという大きなメリットがあります。結果として多額の空港インフラへの投資を必要とせず、都市部・地方を問わずに利用出来ます。
Wiskは、Google創業者ラリー・ペイジ氏が支援する米ベンチャーKitty Hawk傘下のZephyr Airworksを前身としています。
Wiskは10年間で1,000回以上のテストフライトを行っており、自動運転のタクシーで安全且つ持続可能な新しいカタチのモビリティを現実化する段階に来ています。
今回のWiskとニュージーランド政府との覚書締結は2017年からの協業をベースとしており、今後ニュージーランド民間航空当局の認可取得のハードルを超えると現実的な利用に向けての試験スケジュールへと進めるようです。
自動運転を忘れるほどの素晴らしさ ラスベガスで米ライドシェア「Lyft」の自動運転タクシーを実際に体験
アメリカのラスベガスでは、ライドシェアの「Lyft」が自動運転技術を開発する「Aptiv」と協業し、レベル4の自動運転タクシーを実験しています。2018年5月のスタートから2年近くも自動運転車が街を走行しています。
現在30台の「Lyft」の自動運転タクシーがラスベガスを走行しており、運が良ければ自動運転タクシーに乗ることが可能です。
現在、幹線道路を中心とした限定的なルートしか走ることが出来ないので、予め目的地を入力して配車されるライドシェアなので、一致した場合は自動運転車に乗ることが出来る可能性があります。
「Lyft」の自動運転タクシーでは運転手と案内役の2名が緊急時のマニュアル操作のために搭乗しています。これについては、レベル4の自動運転とはいえ、必要な場合はドライバーの判断と操作が必要ということでしょう。人の運転を補完するシステムではなく、自動運転を必要な場合のみ人がサポートする形態は、この分野の進化を実感できます。
自動運転を忘れるほどの自然な車線変更
車線変更した時にしばらく経って案内役に感想を尋ねられ気づくほどの自然な車線変更も可能な様です。
直進走行だけではなく車線変更や右左折時に搭乗者がそれらに気づかないほどの自然な自動運転が既に現実となっており、更に快適性・安全性が高まることで、無人の自動運転タクシーに乗ることが出来る未来も遠くないかもしれません。
遠方への移動が全て自動運転なんて未来が来たら、家を出てそのまま目的地へ自動で到着なんていう事も可能になり、旅行の概念すら変えてしまうのかもしれません。
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