プロモーションと聞くとTVCMなどの広告やチラシをイメージする方もいらっしゃるかと思います。しかし、実際にプロモーションの本来の定義やマーケティングとの関係性がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。本稿では、プロモーションの基本や、マーケティングとの関係性や具体的な事例をご紹介します。

この記事のまとめ

プロモーションとは、マーケティング戦略プロセスの4P分析の一部です。プロモーションの目的は、顧客に消費者の認知率を高めたり、購買意欲を高めることです。具体的な目的例としては下記のようなものがあります。

  • 新商品の認知拡大
  • ブランドイメージ形成
  • 競合商品との優位性を提示
  • 潜在顧客の購買促進

また、プロモーションの手法は大きく5つの種類があります。

  • 広告宣伝
  • 広報活動
  • 販売促進活動
  • 人的販売
  • 口コミ/SNS

プロモーション戦略を作る際のポイントは大きく4点です。

  • STP分析の明確さ、整合性
  • マーケティング・ミックスの一貫性
  • ターゲットに合わせたメッセージ
  • カスタマージャーニーで最適な手法の検討


マーケティングとプロモーションの関係について

プロモーションとは、マーケティングのプロセスの中の1つです。ここで、マーケティングとは何か、プロモーションとはなにかの定義をご紹介します。

マーケティングとは?

マーケティングによって様々な定義がありますが、すべての定義に共通していえることは、「売れる(儲かる)仕組みを作る」ためのプロセスということです。

市場調査やプロモーションなどどれか一つの要素だけでなく、商品開発、流通やプロモーションを組み合わせ、顧客のニーズに答え、利益が上がる仕組みを作り上げるためのプロセスすべてをさします。

マーケティングについて詳しく知りたい方は下記の記事をご確認ください。

プロモーションはマーケティング戦略の1つの要素

マーケティング戦略は、環境分析から戦略の修正までが重要

上述したようにマーケティングは様々な要素の組み合わせで利益がでる仕組みを作ることであり、プロモーションはマーケティング戦略を構成する、4P分析の1つです。

4PはPrice(価格)、Place(流通)、Product(商品)Promotion(プロモーション)の頭文字からきており、基本戦略を具体的にするマーケティング・ミックスのプロセスです。

4Pに関して詳しく知りたい方はこちらの記事を是非ご参考にしてください。

プロモーションの目的とは?

どれだけいいプロダクトを開発し、販売したとしても、消費者に知ってもらったり、購買したいと思われなければ意味がありません。企業はプロモーションを通してプロダクトを消費者に認知してもらうことや、興味関心を抱かせたり、購入へ喚起させていくことを狙います。プロモーションの具体的な目的としては下記のようなものがあります。

  • 新商品の認知拡大
  • ブランドイメージ形成
  • 競合商品との優位性を提示
  • 潜在顧客の購買促進

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プロモーションの種類について(プロモーションミックス)

顧客やチャネルに最適なプロモーションの方法を選択するのが良い

プロモーションの種類は、広告宣伝、販売促進、広報活動、人的販売、口コミ・SNSの5つにわかれます。チャネルや顧客により、効果的なプロモーションの種類が違うため、それぞれの特徴をしっかり理解した上で使い分けたり、最適な組み合わせを考える事が重要です。

広告宣伝

広告宣伝とは、TVCM、雑誌、新聞広告、最近はバナー広告、YouTube広告など、広告費を投下するような活動を指します。 

広告宣伝の特徴は、大きく3点があります。1点目はテレビや新聞などのマス媒体を活用するため、多くのターゲットに拡散しやすいということがあります。

2点目は、企業から情報を発信する形式のため、企業側が伝えたい内容を発信しやすく、ブランドイメージの形成に活用できることです。

また、近年デジタル広告が増えてきた結果、マスを対象にするだけでなく顧客一人一人にパーソナライズして配信する手法も増えてきています。

販売促進

販売促進活動とは、SP(Sales Promotion)活動とも呼ばれます。チラシ、クーポンや試供品、展示会など、広告宣伝とは違い、購買喚起に直接つながるような施策のことを指します。

現代において、プロダクトやサービスは多様化し、市場が飽和していることに伴って、消費者がそれらの情報を捌き切れなくなっているという問題があります。

その中で自社のプロダクトやサービスが埋もれないように、施策を行い、消費者に注目してもらうことで購買につなげることが必要なのです。

広報活動

広報活動とはPRとも呼ばれ、プロダクト・サービスや企業についての情報をテレビや新聞などのメディアに取り上げてもらうことで認知させたり、興味関心の獲得を図る活動です。例えば、新商品発表会やプレスリリースなどの手法があります。

広報活動は、メディアへの拡散に費用がかからないということや、テレビ、新聞などの第三者視点を通して情報が発信されるため消費者に信頼されやすいという特徴があります。

一方、企業が情報をコントロールできるわけではないため、思惑と違う形で情報が発信される場合があります。

人的販売

人的販売とは、営業など顧客との直接のやり取りで購買につなげる活動です。

対面やメール・電話など顧客と直接の対話をしながら課題を突きとめ、顧客それぞれに適した提案ができるという特徴があります。

口コミ・SNS

近年では、企業視点のみで作られたプロダクトやサービス、またそれに関する広告などがユーザーの共感性を欠いてしまった結果、顧客と濃密な関係が築けなくなり、リピーターの獲得数の低下やブランドロイヤリティの低下につながるという事例が増えてきています。

そんな中で、顧客によるプロダクトの評価や感想などの口コミや、企業と消費者との双方向のコミュニケーションができるSNSなど、顧客視点が担保されている情報が重宝される傾向にあります。

口コミ・SNSは、大きく予算を投下しなくても効果につながることがある一方で、ターゲットの文脈にあっていない情報であると炎上するリスクも孕んでいます。

また、近年企業からの情報提供であるということを隠して情報を発信するステルスマーケティングが問題になっています。

インフルエンサーに依頼した場合も企業からの依頼であることを隠してしまうと、ステルスマーケティングの一種と認識され、企業イメージを大きく毀損してしまいます。

プロモーション戦略を立てる際の4つのポイント

実際にプロモーション戦略を立てる際の4つのポイントをご紹介します。

STP分析でターゲットを明確にしておく&整合性を保つ

プロモーション戦略を検討するステップは、マーケティングの基本戦略を策定するためのSTP分析が終わった次のステップです。

STP分析で設定した基本戦略を元にプロモーションを含むマーケティングミックスを検討するため、基本戦略が明確でないと、ターゲットのイメージが曖昧になり、効果的なプロモーション戦略が検討出来ません。

プロモーションを検討する前は、STP分析を行い、基本戦略を構築するための準備をしましょう。

マーケティングミックスとの一貫性を保つ

ご紹介したように、プロモーション戦略は4P分析の一部です。商品の設計や流通戦略、価格などもプロモーションとともに検討します。

そのため、4Pそれぞれの視点が一貫性を保っていることが重要です。

例えば、商品の価格が高価格帯でプレミアムなイメージをつけようとしているのに、プロモーションではチラシで安売りをしているとします。

この施策には一貫性がなく、消費者のブランドイメージがちぐはぐになってしまう危険性があります。

ターゲットに合わせたメッセージを考える

3点目はターゲットにあわせたメッセージ設計をすることです。プロモーションは企業が顧客に直接コミュニケーションを行う手段です。

しかし、顧客に伝えるメッセージがずれていると効果がありません。例えば、若者向けに堅苦しいメッセージだと共感性を損なう可能性があります。

そのため、若者向けにはユーモラスでトレンディな文脈、専門家やtoBに向けてはフォーマルで信頼を感じる文脈など、ターゲットに合わせてメッセージを検討する必要があります。

4P分析はどうしても企業目線に依存してしまうため、顧客目線が抜けてしまう場合が多いです。そのため、顧客目線が担保された4C分析を活用し、マーケティング・ミックスを検討しましょう。

カスタマージャーニーを描いて最適な手法を選択する

商品を認知し、興味関心をいだき、商品について検索をして、他の商品と比較した上で購入するなど、顧客は購買までに様々なステップを踏みます。

プロモーションを検討する上で、顧客がどのような動態変容を起こし、そのときにどのようなことを求めているのかを整理するカスタマージャーニーが有効です。

マーケティングプロモーションの成功事例:スターバックスの上質な顧客体験

スターバックス

最後のマーケティング・プロモーションの成功事例であるスターバックスをご紹介します。

スターバックスは広告宣伝をせずに、口コミなどを活用して成功しました。

スターバックスが日本に進出する際、喫茶店やフードコートのコーヒーなどすでにコーヒーが飲める場所が多く存在していました。このような他のお店との差別化をするために、力を入れたのが体験価値です。

店内をサードプレイスと定義し、コーヒーが楽しめ、落ち着ける新たな空間として演出した結果、スターバックスブランドが形成され、顧客が良質な口コミや写真をSNSに投稿するようになった。

また、その後もWifiの導入や試食のサービスなど顧客体験の向上を継続して行ったり、SNSを活用した新たなコミュニケーションを行うことにより、ビジネスをさらに拡大させています。