ある旅の夢を見ているとしましょう。
あなたは本、水着、サングラス、そして晴れた休暇に着るお気に入りの服や、お腹が空いてイライラしないように、おいしい食べ物も詰め込みました。
あとは、携帯電話の充電器、IDカード、薬、現金…と。必要なものはすべて揃っていますか?
車のエンジンをかけて、気分が上がる音楽をかけて、ずっと夢見ていた楽しい旅の準備をしています。
でも、2時間もすれば、どこに向かっているのかもわからない、あなたにとって未開の道に出ます。
あなたは、晴れた日に休暇を取りたいと思っていること、水着や本、その他のアイテムが必要になることを知っているだけです。
どこに向かってるのでしょう?目標とする目的地はどこでしょうか?
私はそんな皆さんに話しています、その驚くべきビジネスアイデアを持つ、親愛なるスタートアップの創設者の皆さん。
あなたは、ターゲット市場を理解できているでしょうか?
ほとんどのスタートアップは同じ課題を抱えています。
まず、創業者は、解決すべき問題や満たすべきニーズを見つけ、問題に対する素晴らしいアイデアを考え出します。
そして、そのアイデアを現実のものにするための製品やサービスを開発します。
しかし現実問題、もしあなたの製品やサービスが誰にも購入されなかったとしたら、あなたがやっていることは学級活動に過ぎません。
「すごい」製品を作れば、人が集まってきてユーザーや顧客になってくれると考えていませんか?
しかし、現実には「すごい」というのは個人の解釈であり、明確に定義されたターゲット市場の問題を解決している場合にのみ、そのアイデアが「すごい」ということになります。
正直に言うと、今日ではほとんどの人がビジネスを始めることができるので、ターゲット市場が明確に定義されていないと、「すごい」アイデアを出すことが難しくなっています。
あなたの参入市場には、何らかの形で問題を解決したり、ターゲットとすべき顧客のニーズを満たす製品・サービスが既にすでに存在するでしょう。
CBInsights[1]がスタートアップの創業者に、過去に失敗した理由を尋ねたところ、その理由のトップは「市場のニーズがない」であることが判明したといいます。
以下、失敗した起業家の一人からの引用です。
「私は、私たちが販売している商品に興味を持っている人がいなかったために、本質的に顧客がいないことに気がつきました。医師はより多くの患者を求めているのであって、効率的なオフィスを求めているわけではありませんでした」
もしあなたがその「すごい」ビジネスアイデアのターゲット市場を定義しなければ、ターゲットが散らばり、あなたの努力は分散され、あなたのリソースは枯渇します。
ターゲット市場を定義すべき理由
まず、潜在顧客とターゲット市場を定義し、彼らのペインを理解し、市場規模と機会を探り、ソリューションの調査をすることが理想です。
そして最後に、製品やサービスの開発に着手します。
しかし、まずソリューション、次にターゲット市場というように、ほとんどのスタートアップはこれを逆算して行っています。
製品やサービスではなく、彼らが何を必要としているのかが重要なのです。
つまり、そのようなスタートアップが、今からターゲット市場を見つけて定義するためには、思い切ったことをしなければならないということです。
では、スタートアップとして、なぜターゲット市場を見つける必要があるのでしょうか?
主な理由は2つあります。
まず、1つの顧客グループに焦点を当てることで、より良い製品とメッセージを構築することができるからです。顧客のペインをただ推測するのではなく、最小限のヒアリングと検証、迅速なフィードバックのより真のニーズを理解できます。
2つ目は、製品を本当に必要としている1つの顧客グループにフォーカスすることで、彼らが再び訪れ、アクティブなユーザーとして滞在するようになるからです。これにより、長期的には顧客の定着率が高まり、スケーラブルで収益性の高いビジネスを実現できます。
考えてみましょう。
もし、ある顧客グループに焦点を当てなければ、機能の追加や削除に役立つ、実際の顧客から製品に関する具体的で的確なフィードバックを得ることはできません。
そうなると、あなたの仕事のほとんどが思い込みに基づく努力になってしまい、最終的には失敗に終わってしまいます。
1つの顧客グループに焦点を当てなければ、マーケティング戦略の中でメッセージや提供価値を明確にできません。
さまざまなタイプの顧客にリーチし、それぞれに最適化されたコンテンツを生成することで、最終的にターゲット市場を見出すことになります。
これでは、あなたのマーケティング予算が分散的に投下されてしまい、より収益性の高い、理想的なタイプの顧客を獲得するポイントに十分な予算を投下できなくなってしまいます。
そうして分散的に獲得した顧客のほとんどは、リピーターとして戻ってくることのない、単発のユーザーになってしまいます。
そうなると、あなたのスタートアップは、定着率が低く、獲得コストが高いビジネスに変わってしまいます。そして、最終的には失敗に終わるでしょう。
まとめると、特定のターゲット市場を定義することで、
- 製品を改善するための良質なフィードバックを集めることができる
- マーケティング戦略を明確にして、最小限のコストでリーチを拡大します。
- 定着率を上げて収益性を高める
そんな効果があります。
ターゲット市場をどのように定義すべきか
すぐに結果がわかるコーディングや、いくら費用を投下したかが一眼でわかる有料広告とは異なり、ターゲット市場を定義するというのは非常に抽象的な作業です。
質の高い顧客層を発見するために、さまざまな情報を言語化したり、それをドキュメントに残すといったような地道な努力が必要になるでしょう。
しかし、あなたがあなたの潜在顧客を知れば知るほど、あなたの製品・サービスを購入するように説得しやすくなります。
そこで、ターゲット市場の仮説の構築や策定を言語化するためのフレームワークを紹介します。
それは、「Who-What-When-Where-Why」です。
1- Who
「Who」を質問をすることは、ターゲット市場を定義する上で最も楽しく、重要な部分かもしれません。
また、最も失敗しやすい質問でもあるかもしれません。
製品やサービスに最適なターゲット層をより具体的に定義し、他のターゲット層と切り分けるために、「Who」と質問をしていることを意識しましょう。
年齢、性別、配偶者の有無などを考慮しても製品やマーケティング戦略に変化を見込めない場合は、不要な指標として除外することも大切です。
ここでは、「Who」で考慮すべき変数をご紹介します。
- 年齢層
- 性別
- 住んでいる場所
- 配偶者・家族の状況
- 教育レベル
- 職業
- 所得水準
2-What
“What”は、持論ですが、”Who”の質問よりも、ターゲット市場を定義する際に参考になる情報を得られることが多いです。
(1)ターゲット市場の性別か、(2)ターゲット市場の購買動機、どちらがより価値があるか、簡単な検証をしてみましょう。
年齢や性別、教育レベルが不要であるというわけではなく、これらの「What」を深掘らなければ、ターゲット市場に関するあらゆる人口統計学的情報を持っていても、無意味になってしまうということです。
- あなたの潜在顧客が抱える課題・ニーズは何ですか? あなたの製品/サービス解決できる課題、満たすことのできるニーズは何ですか?
- 顧客が抱える不満は何ですか?ソリューションに関連した課題、価格に関連した問題を持っていますか?
- 顧客の購買動機は何ですか?購入を可能にするその他の潜在的な要因は何ですか?
- 購買プロセスに影響を与える可能性のある個人/企業の目標は何でか?
3- When
もし、あなたの製品/サービスの購買に季節性やタイミングが関連しているのであれば、それを明らかにすることで、マーケティング戦略が改善されるかもしれません。
例えば、あなたがフードデリバリービジネスを行っている場合、特にランチやディナーの時間帯に潜在的な顧客のニーズが高まるであろうと推測できます。
また、学生を対象としたビジネスであれば、新学期のシーズンが大きな影響を与えると判断できるはずです。
貴社のビジネスがB2B – SaaSソリューション系であれば、ターゲット市場の決裁者が第4四半期末までに契約をするように動くはずです。
ここでは、その詳細を知るために質問すべき「When」の質問をいくつかご紹介します。
- 顧客はどのタイミングで問題解決のソリューションを探し始めますか?
- 顧客にアプローチするのに最適な時間帯や季節はいつですか?
- 顧客が購入の意思決定をする特定の時期(日、月、季節)はありますか?
- 顧客があなたの製品やサービスに興味を示さない特定の時期はありますか?
4- Where
マーケティングの4P(Product, Price, Promotion, Place)はインターネット以前の素晴らしいフレームワークでした。
それは今でも便利なフレームワークですが、「Place(場所)」の定義はここ5~10年で大きく変わったように感じます。
なぜなら、潜在的な顧客がソリューションを探している場所は、もはや物理的な場所であるとは限らないからです。
人々は検索エンジン、ソーシャルメディア、メッセージングアプリなどで情報を収集し、最終的にオンラインで購入するのです。
このようなユーザーにとっての「Place」は、認識から購入までほとんどの時間を過ごす場所であるということを理解しておきましょう。
すべての業界、市場、ビジネスは、認識-評価-購入の独自のマーケティングファネルを想定しておく必要があります。
顧客が最も多くの時間を費やしているチャネルを探してみてください。
- 新製品や新サービスをどこで発見するのか? 検索エンジンなのか、ソーシャルメディアのプラットフォームなのか?
- 特定の問題についての情報収集はどこでするのか?検索エンジン、または他のプラットフォーム?
- 友人や専門家、インフルエンサーからお勧めされた後どうするのか?ソーシャルメディアや各種プラットフォームで誰をフォローしているのだろうか?
- どんなチャネルが購入の意思決定に大きな影響を与えるのか?
マーケティングのファネル、4Pに関する詳細は、この記事でも解説しています。
5- Why
「Why」という質問は、購買決定の背景にある理由を理解するのに役立つので、収益性が高く、拡張性のあるビジネス上の意思決定を行う上でより重要です。
顧客インタビューと適切な競合他社の調査で検証されていない任意の「Whyの仮説」は、一次情報として非常に価値が高く、Who-What-When-Whereのいずれも仮説が’検証されていない場合でも、製品・サービスの機能、またはマーケティング戦略を最適化できます。
注意すべきは、ターゲット市場に関連した「Why」の答えを咀嚼しきれていないにもかかわらず、製品・サービスやマーケティング戦略を根本的に修正することは、極めて不確実性が高い行為となることです。
- なぜターゲット市場の問題が解決されていないのでしょうか?
- なぜ競合他社はまだ解決策を作っていないのでしょうか?
- なぜ顧客は競合他社ではなく、あなたの製品やサービスを選ぶのでしょうか?
- なぜ顧客はあなたの製品やサービスにお金を払うのでしょうか?あなたの製品・サービスの方が手頃だからか、それとも便利だからか?
まとめ
5Wの質問は、紛れもなくあなたのターゲット市場を理解を促進するものです。
ターゲット市場を定義するためのより良い方法やフレームワークがあるならば、それに取り組みましょう。もっと創造的な質問があると思うのであれば、それを見つけるために最善を尽くしてください。
あなたの目標は、ターゲット顧客を明確にして、彼らのニーズに合った製品やサービスを提供し、彼らの購買意欲を高めるためのマーケティング戦略を構築することです。
そして、ターゲット市場は永遠に同じではないことを忘れてはいけません。顧客とそのニーズは、市場とともに常に変化しているのです。
また、競合他社もその需要を満たすために変化し、あなたのビジネスとあなたの目標も変わっていくのです。
ターゲティングについてより知識を深めたい場合は、こちらの記事がおすすめです。
コンテンツ提供:Batuhan Apaydin
アメリカ・サンフランシスコ在住。Momentum Marketing & Advertising の創業者。
原文:How to Find a Target Market for Startups Who Haven’t Figured It Out Yet
[1]…The Top 20 Reasons Startups Fail
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