「せっかくマーケティング戦略を立案したけど、費用対効果が悪い」などの悩みがある方もいるのではないでしょうか。その原因として、顧客を捉え違えたり、市場が変化してしまったなどの理由があると思います。そこで重要となるのが、マーケティングセグメンテーションです。本稿ではマーケティングセグメンテーションの基本的な説明と、効果的なセグメンテーションを行うポイントについて解説します。
この記事のまとめ
セグメンテーションとは、ターゲティングを行うために「市場や消費者を一定の塊(セグメント)に分類する」ことであり、STP分析の一部です。
これににより、資源を集中させる事ができ、マーケティング効果を高めたり、新たなニースを発掘したりすることが出来ます。
セグメンテーションの方法は、行動変数・地理的変数・人口動態変数・心理変数・ファーモグラフィック変数の5つです。さらに、このセグメンテーションは、DIASSという5つのポイントの略称を意識するとより効果的になります。
・区別可能なのか(Differentiable)
・識別可能なのか(Identifiable)
・到達可能なのか(Accessible)
・ボリュームが十分なのか(Substantial)
・安定しているのか(Stable)
セグメンテーションを行う上で、セグメントを細かくしすぎたり、一つのセグメントに固執しすぎたり、市場が変化していることを忘れてしまうことで失敗に繋がります。
5つのポイントと失敗につながる点を意識することで効果的なマーケティングを行いましょう。
セグメンテーションとは?
セグメンテーションとは、「市場や消費者を一定の塊(セグメント)に分類すること」です。つまり、居住地、性別、年齢、ライフスタイルなどの指標で市場を細分化することです。
なぜ、マーケティングではセグメンテーションが重要なのか?
以前のマーケティングは、商品を大量生産し、マスメディアを使って消費者に向かってコミュニケーションを行い、販売するというマス・マーケティングが主流でした。
しかし、消費者の価値観が変化し、多様化していく中で、万人を対象にしたマーケティングでは効果を十分に発揮できなくなりました。
そこで、重要となったのがセグメンテーションです。市場を細分化することで、自社のターゲットを絞り込み、資源を集中させることで効果効率的なマーケティングが行えます。
活用するタイミングは「市場環境の調査」が終わってから
セグメンテーションは、STP分析の一環であり、実施するタイミングは市場環境の調査が終了してからです。
市場環境の調査で自社がエントリーする競合環境や顧客に関して理解した上で、自社の戦略を規定していきます。
STP分析の一環として機能させることが重要
上述したように、セグメンテーションはSTP分析の一環です。STP分析は、「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」の3ステップにわかれております。最初のステップのセグメンテーションを行ったうえで、それに基づきターゲティング、ポジショニングを行うことが重要です。
セグメンテーションは大きく5つに分類される
それでは具体的にセグメンテーションの種類に関してご紹介します。セグメンテーションは、大きく地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数、ファーモグラフィック変数の5つに分かれます。
地理的変数
地理的変数とは、地理的な要因で分類するものです。
分類の指標としては、
- 国
- 都市の規模
- 経済発展度合い
- 文化
- 宗教
- 気候
などがあります。例えば日本では、関東と関西では好む味が異なるといわれていたり、グローバルの場合、宗教によって牛を食べないなど地域によって大きく特性が異なります。
人口動態変数
人口動態変数とは、デモグラフィック変数とも呼ばれ、人の属性などで分類するものです。
例えば、
- 性別
- 年齢
- 家族構成
- 職業
- 年収
などがあります。30代男性や20代女性等の性別・年齢など多くの企業が最も一般的に活用しているセグメンテーションです。
分類のしやすさなどのメリットがある一方、近年価値観の多様化などに伴い人口動態による分類だけでは効果が限定的という懸念もあります。
心理的変数
心理的変数とは、消費者のライフスタイルや価値観により分類を行うセグメンテーションです。例えば、下記のような分類方法があります。
- ライフスタイル:インドア派 or アウトドア など
- 価値観:高級志向 or 機能志向など
人口統計資料などに基づいた把握はできず、実際の市場規模を認識することが難しいです。
そのため、市場調査や顧客の行動データをもとにしたクラスター分析を行うなどして得ることが多いです。
行動変数
行動変数とは、サービスの利用頻度や購買行動などを軸に分類を行うものです。例えば、
- 購買頻度:ヘビー、ライト
- 購買経路:店舗で購入するか、ECサイトで購入するか
- 使用目的:日常用、休日用
です。顧客の行動を分析することにより、顧客に合わせたコミュニケーションを取ることが可能です。
また、ヘビーユーザーのサービスやプロダクトの利用方法を調べる中で、企業が思いつかなかった使い方を発見できた場合、ライトユーザーの獲得に応用することも可能です。
ファーモグラフィック変数
ファーモグラフィック変数とは、BtoBマーケティングや投資などの特に用いる分類法です。例えば、下記のような分類方法があります。
- 業績
- 従業員数
- 業種
- 組織体制(株式会社か、非営利団体かなど)
ファーモグラフィック変数はふさわしい投資対象を探す際に有効です。
効果的なセグメンテーションを行うためのDIASS(ディアス)
セグメンテーションを行う上で正しくセグメンテーションが行われているのかを判断する必要があります。そのときの基準がDIASSという指標です。
Differentiable-区別可能であること
1点目は、区別可能かということです。セグメンテーションを行うことで避けるべきなのがセグメントに同じ人がかぶっていることです。セグメントが別のセグメントと明らかに異なるニーズを持っているかを認識しましょう。
Identifiable-識別可能であること
2点目は識別可能であることです。セグメント内の消費者のデモグラフィックや購買行動、使用状況など、顧客の特性を測定、認識できる単位であることを確認しましょう。
Accessible-到達可能であること
3点目は到達可能かです。セグメントを設定してもコミュニケーション出来なかったり、購入できなかったら意味がありません。設定したセグメントに何かしらのコミュニケーションチャネルや流通チャネルなどを活用してその顧客に効果的に到達できるのかを確認しましょう。
Substantial-十分なボリュームがあること
4点目は、ボリュームが十分にあることです。
セグメンテーションによくある失敗として、自社に合ったセグメントを求め、市場を細分化しすぎた結果セグメントのボリュームが小さく、大きな利益を得ることができないケースがあります。
そのため、利益を大きくするためには、ある程度のボリュームが期待できるセグメントであることをしっかり確認しましょう。
Stable-安定していること
最後は、セグメントが安定しているかということです。マーケティング戦略が成功するには一定の期間セグメントが安定していることが望ましいです。
セグメントはトレンドや新たなサービスが登場するなどの市場の様々な環境要因で常に変化する可能性があります。特に、ライフスタイルやグローバルマーケット向けにセグメントする場合は注意しましょう。
よくあるセグメンテーションのミス
セグメンテーションのポイントについてご紹介してまいりましたが、ここでセグメンテーションを行う時によく起きる失敗をご紹介します。
失敗も理解し、効果的なセグメンテーションを行いましょう。
セグメントを細かくし過ぎてしまう
上述したように、十分な利益を獲得するためには十分なボリュームがあることが望ましいです。
しかし、自社が理想としているターゲットを求めてセグメントを細かくしすぎてしまった結果、CPAは目標通りだが利益が見込めないということがあります。そのため、セグメントはある程度ボリュームがあることを確認しましょう。
一つのセグメントに固執してしまう
マーケティング戦略やセグメントを一度決めたらそれに固執してしまうことは失敗に繋がります。マーケティング戦略は一発で成功することは稀です。
そのため、ROIが合わなくなったり、戦略が機能していないときは状況を変える必要があります。例えば、別のセグメントを検討するなど最適な戦略にアジャストしていきましょう。
戦略を検討する際は、常にROIなど定量的目標を意識することが重要です。
セグメントは市場と共に変化していることを忘れてしまう
市場や消費者は常に変化しています。新たなテクノロジーの登場や新型コロナウィルスの流行などの社会的変化などによりライフスタイル、価値観が突然変わる可能性もあります。
しかし、このような前提を忘れて、常に同じセグメントに固執していると失敗に繋がります。市場の変化に合わせて、常にセグメントをアップデート、再検討することを意識しましょう。
セグメンテーションを行う5つのメリット
最後になぜ、セグメンテーションを行うべきなのか、セグメンテーションのメリットをご紹介します。
効果的なマーケティング施策が設計できる
最も大きなメリットは、より効果的なマーケティング戦略の立案、施策の設計ができるということです。消費者のニーズ、生活スタイルなどを理解することでより効果的な施策の設計ができます。
効率的なROIを実現する
2点目は、効率的なROIを実現できるということです。セグメンテーションをせずにコミュニケーションを行ってしまう無駄になってしまう場合も少なからずあります。例えば、20代向けにコミュニケーションをするよりも、東京住まい20代後半男性の方が予算を抑えてマーケティングすることが可能です。このように上手なセグメンテーションを行うと効率的なROIが実現できます。
ニッチな市場を特定できることも
セグメンテーションを行うことで、それまで想定していなかった市場が見つかることがあります。このようなニッチな市場を特定できることで新たなニーズの発掘や新商品開発などに活用できます。
リテンションやLTVを向上させる
顧客のニーズを適切に理解することで顧客のニーズに合うマーケティング施策を実施することが出来ます。それにより顧客のLTVを高めたり、リテンションを向上させることが期待されます。
良質なリードを獲得できる
セグメンテーションを行うことで顧客を絞り込め、正しい顧客に向けてコミュニケーションを行うことで顧客に認知され、より良質な見込み顧客を獲得することが出来ます。
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