マーケティングミックスは、事業の成功に欠かせないものですが、「マーケティングミックスの歴史」「マーケティング戦略におけるマーケティングミックスの位置付け」「なぜマーケティングミックスするのか」などを理解している方は少ないのではないでしょうか。本日はマーケティングミックスについて体系的に学べる、またそれを実践できるよう解説していきます。
また現代は急速なIT化やEコマースの台頭など変化の激しい社会でもあります。社会の変化に合わせてマーケティングも日々進化しています。マーケティングミックスの基礎知識に合わせて、デジタル時代におけるマーケティングミックスなどの最新情報も合わせてご紹介します。
マーケティングミックスとは?
マーケティングミックスは製品価値や収益を最大化するために、最適な方法を検討するためにうみだされた概念です。マーケティングミックスは顧客と製品をつなぐマーケティング戦略です。そのため事業の成功と失敗の鍵を握る重要な役割をもちます。ここではマーケティングミックスの歴史や具体的にどのようなことをするのかについてご紹介していきます。
マーケティングミックスの歴史
マーケティングミックスは1953年アメリカで生まれました。ハーバード大学教授でマーケティングの専門家であるニール・ボルドンがアメリカマーケティング協会の講演で「マーケティング担当者がどのようにに成功したのか」「成功したマーケティングはどのように計画し開発されたのか」について説明したことが始まりです。
当時はマーケティング施策を考えるための概念として普及しましたが、1960年代にE.ジェローム・マッカーシによって「4P」というマーケティングツールが生まれました。また同時期においてマーケティングの神様と呼ばれるコトラーによって提唱された、サービスマーケティングに特化した「7P」があります
また1990年代に入るとロバート・F・ロータボーンによって4Pを顧客目線で作り変えた「4C」が誕生しました。
このようにマーケティングミックスは経営における重要性はそのままに、その時代に合わせて手法や考え方を変化させてきています。またオンライン上での経済取引や集客が急速に発展している現代社会においては「デジタル時代版4P」が新たに誕生しています。
具体的にどんなことをするのか?
マーケティングミックスの目的は「ターゲット市場を十分に理解することで、ビジネスにおける失敗を防ぐこと(収益を最大化すること)」にあります。そのためマーケティングミックスのゴールは顧客にとって適切なタイミングで、適切な価格で、その場所に適切な製品やその組み合せを作ることを目指します。
具体的なイメージがつきやすいように4Pを利用してマーケティング戦略を考えていきましょう。4Pとは製品(Product)、価格(Price)、場所(Palace)、プロモーション(Promotion)の頭文字を取って造られた言葉です。
例えば家具を販売するとします。マーケティングミックス(4P)を利用することでどのようなマーケティング施策を実施すべきかが分かります。それでは構成要素ごとにみていきましょう。
製品(例:製品のバリエーションはどれくらいか、何がセールスポイントか)価格(例:1万円未満か、100万円代か)場所(例:路面店を構えるか、オンラインショップか)プロモーション(例:広告を実施するか、値引きするのか)といった具合になります。
以上のようにマーケティングミックス(4P)を利用することでビジネスを明確化し、マーケティングの具体的施策を実行しやすくするのです。
マーケティング戦略立案・実行の中の1プロセスである
マーケティング戦略において欠かすことのできないマーケティングミックスですが、マーケティング戦略立案プロセスのうちのひとつに過ぎません。そのため、マーケティング戦略を立案、実行する場合は、全体的な視点から考える必要があります。
マーケティング戦略の立案から実行までの流れとしては、以下の図のようになります。PEST分析やSWOT分析などのフレームワークを用いて環境分析、市場機会の発見をし、市場の細分化やターゲティングや顧客理解などを通じて「マーケティングの基本戦略」を立案します。
マーケティングミックスは前述の通り「具体的なマーケティング戦略」があることで役立つため、基本戦略立案後に行い、実際にマーケティング戦略を実行・評価・再実行するといった流れです。全体から具体的な戦略を立案することで市場の全体像のイメージがつきます。それにより市場の見誤りによる余分な出費を防ぎ、精度の高い施策を実施することが可能になります。
ここからマーケティング戦略の各要素についてご説明します。またいずれの各要素においても抜け漏れがない(MECE)を意識して行うことで分析や理解の精度を上げることができます。
環境分析と市場機会の調査・発見
マーケティング戦略立案の前に「環境分析」と「市場機会の調査・発見」をする必要があります。なぜなら経営は市場環境に影響され、市場機会がないと買う顧客がいないことになるからです。
環境分析は市場(顧客)、競合、自社の3つの視点から分析していきます。その際に用いられる代表的なフレームワークは「PEST分析」「3C分析」「SWOT分析」です。
PEST分析は政治(Politics)経済(Economy)社会(Society)技術(Technology)の頭文字を取った造語です。PEST分析を行うことで市場環境をマクロの視点で分析、理解できます。
3C分析は市場や顧客(Customer)競合(Competitor)自社(Company)の頭文字からなり、PEST分析に比べマーケティング環境をよりミクロ的に分析、理解できます。
SWOT分析はマーケティング環境を外部環境と内部環境に分け、それぞれ自社のビジネスにプラスになるか、マイナスになるかを理解するのに役立ちます。具体的には外部環境でプラスに働く「機会(Opportunity )」マイナスに働く「Threat(脅威)」、内部環境でプラスに働く「強み(Strength)」マイナスに働く「弱み(Weakness)」に分類し、分析します。
市場細分化
環境分析と市場機会の調査と発見の結果をさらに細分化することで、自社が目指す基本的な戦略や方向性を認識できます。市場の細分化はセグメンテーションと呼ばれます。
具体的には環境分析の結果で得た市場(顧客)を、同じニーズを持つ単位(セグメント)ごとに分類することを指します。
ターゲティングと顧客理解
現代日本のような成熟社会では競合企業や既存製品が多く、この「ターゲティング」と「顧客理解(顧客インサイト)」がマーケティング戦略において重要な役割を持ちます。
ターゲティングとはニーズ単位で分類されたセグメントのうち、どのセグメントを目指して(ターゲットにして)事業展開するのかを選択することを指します。
また顧客理解とは各セグメントあるいはターゲットにおいて、顧客がまだ気付いていない「不満や不安などの顧客インサイト」や「顧客のライフスタイル」、「顧客がモノを買う時に重視する点(KBF)」などを理解することを指します。
ポジショニング・差別化
ここでは、ターゲットとするセグメントに対して自社事業をどのように展開すべきかを検討します。ポジショニングは製品の売れ行きや集客などの収益性に大きく影響を与えるため、重要なフェーズです。
ポジショニングは競合製品と比較した際に、自社製品が良いと感じてもらうために行います。そのため顧客目線で行う必要があります。
またポジショニングをすることで顧客に自社製品がユニークであることが認められ、競合よりも優位に事業を展開できます。
ポジショニングや差別化を行う場合、主観的になりやすいです。そのため以下の質問を答え、ポジショニング・差別化戦略が適切かどうかをチェックしましょう。
- ポジショニングのターゲットサイズは適切か
- 売り手の考えるポジショニングは顧客に正確に伝わるか
- 売り手の考えるポジショニングに顧客が共感するか
- 売り手である企業自体のポジショニング(企業理念、ポリシーなど)と、製品のポジショニングに整合性があるか
マーケティングミックス (4P)
マーケティングミックスはこれまでのフローで策定された「マーケティング基本戦略」をより具体的にする役割を持ちます。
前述の通りマーケティングミックスが目指すのは「顧客にとって適切なタイミングで、適切な価格で、その場所に適切した製品やその組み合せを作ること」を目指します。
具体的な方法としてはマーケティングミックスのフレームワークである4P(製品・価格・場所・プロモーション)を利用し、各要素について洗い出します。それらから最適な組み合わせを検討します。
戦略の実行と評価
マーケティングミックスによって具体的になったマーケティング戦略に基づき実際にマーケティング施策の実行を行います。また施策実行で出た結果を評価することで次のアクションプランを立案することが可能です。
戦略の修正・再実行
マーケティング戦略の結果を元に戦略の修正や再実行します。必要に応じて、これまでのマーケティング戦略の各要素に立ち返り修正案を立案、実行します。
マーケティングミックスは4P分析としばしば同義で用いられる
先述した通りマーケティングミックスは「顧客にとって適切なタイミングで、適切な価格で、その場所に適切した製品やその組み合せを作ること」を果たすための概念です。しかしながらマーケティングミックスの手法のひとつである4Pと同義で扱われることが少なくありません。
4Pはあくまでマーケティングミックスを考えやすくするフレームワークのひとつです。4Pを用いて具体的なマーケティング戦略を立案する際は、一度基本に立ち返って分析、理解に務めるようにしましょう。
4P分析とは?4つのPから手法を理解しよう
ここでは4P(製品・価格・場所・プロモーション)の手法についてご説明していきます。
製品(Product)
「製品」はターゲットとするセグメントへどのような価値を提供するのかを決めます。4Pのうち顧客価値へつながるため非常に大事な要素です。
具体的には顧客が持っている不満や不安などに対して、どのような価値を提供するのかのコンセプトを決定します。その後、それを実現するために必要なリソースや生産方法、商品デザイン、アフターサポート体制などを検討し実際の製品を作っていきます。繰り返し見直すことで洗練された製品作りができます。
スターバックスの場合、提供する価値を「美味しいコーヒー」ではなく「新たにくつろげるサードプレイス」としています。
価格(Price)
顧客が実際に支払う「価格」は売上に直接結びつきます。価格は後から変更することが難しい側面を持っているため、十分な検討をするようにしましょう。
価格で重視したいのは「4つの価格」です。それらは「コスト」「顧客が支払う意欲の幅(相場)」「競合の価格」「ブランディング」です。
「コスト」は事業の原価です。製品を作る原価だけでなく、売るための費用なども考慮し全体的な目線でコストを把握します。
「顧客が支払う意欲の幅(相場)」は提供する製品に対してどれぐらいの金額を支払う意欲があるかです。アンケート調査などによって顧客が支払うであろう相場観を知れます。
続いて「競合の価格」はターゲットにするセグメントで競合する企業の価格を指します。そのライバルと比較して価格をどう設定するかを検討します。基本的に価格戦略は次の2つのいずれかです。ひとつは「市場シェアを早く取るために低価格」あるいは「製品開発にかかった費用を早く回収するために高価格」です。
最後は「ブランディング」です。あえて高い価格をつけることで価値の高いものと思わせる戦略です。ドモホルンリンクルでは月額36,000円と高額ながらも年間数10万円を超えるロイヤル顧客のリピートに成功しています。
場所(Place)
場所は流通とも言われ、顧客と製品をつなぐ導線(チャネル)を決めます。事業コストと収益に影響します。
ライフネット生命はあえてインターネットからの販売に限定することで、低価格を実現し成功しています。
また対象とする顧客がいない場所では大きな効果を得られません。スターバックスコーヒーは都会で暮らす人を対象顧客にするため大都市中心に出店していますが、コメダ珈琲は地域コミュニティを対象顧客としているため郊外中心に出店しています。
プロモーション(Promotion)
「プロモーション」は、自社製品の存在や価値などを顧客に認知させることで購買を促進する役割を持ちます。プロモーション戦略は売上とコストに影響します。
ライフネット生命は検索エンジンやSNSなどネット上で認知・集客し購買へと繋げています。またドモホルンリンクルは新聞広告やテレビCMなどマスメディアを利用して認知・集客・購買に繋げています。
重要なことは、それぞれの「P」の中での整合性
4Pを利用することで各要素について考えることが容易になります。しかし4Pをすることが目的なのではなく、いかに「顧客にとって最適な組み合わせを作れるか」が大切です。
そのため4P全体の整合性について考えることが重要となります。4Pで具体的なマーケティングを立案した後は次のことに注意しましょう。「4Pの各要素間で矛盾が生じていないか」「バランスは適合か」「4Pで立案した各要素は相乗効果を生み出せるか」などについて振り返るようにしましょう。
4Pは1つのフレームワークにすぎない
マーケティングミックスといえば4Pを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。しかしマーケティングミックスは時代の流れに合わせて変化しております。代表的な例として7Pと4Cが挙げられます。
7Pは4Pの要素に加え物的証拠(Physical Evidence)、要員(Personnel)、業務プロセス(Process)を加えたフレームワークです。4Cは4Pを顧客目線に基づいて作り替えたフレームワークです。4Pを用いた分析では企業目線で行うため主観的になりがちですので、4Cを利用することでそれを防ぎます。
マーケティングの4P詳しく知りたい方は「マーケティングの4Pとは?基礎知識から4C分析との違い、事例を解説 」をご覧ください。
マーケティングミックスにおける7Pとは?
7Pとは上述の4P(製品・価格・場所・プロモーション)に物的証拠(Physical Evidence)、要員(Personnel)、業務プロセス(Process)を加えたフレームワークを指します。それぞれの頭文字をとって7Pと呼ばれます。
4Pのフレームワークが誕生した1960年代は家電などの製品(有形財)の全盛期でした。7Pが唱えられたのは1970年代で当時、金融などのサービス(無形財)が発展します。このような時代の変化に合わせてフレームワークも変化したのです。
物理的証拠(Physical Evidence)
物的証拠は顧客の不安を解消するために利用されます。なぜならサービスは無形で可視化できないからです。そのため契約書や保証書、サービス提供の内容詳細など顧客の不安を取り除くために用いられます。
要員(Personnel)
要員とはサービスを提供するために必要な要員全てを指します。そのため自社の従業員だけでなく協力会社や関係会社なども含めます。これらを把握、整備することで顧客に満足してもらうサービスやサービス体制を検討できます。
業務プロセス(Process)
業務プロセスとは顧客にサービスを提供する方法を指します。
4Pから4Cの時代へ
4Cとは4P(製品・価格・場所・プロモーション)を顧客目線で行うフレームワークです。4Pが製品、価格、場所・プロモーションだったに対し、4Cは価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)と各要素が対になる性質を持っています。それぞれの各要素の頭文字をとって4C呼ばれます。
4Cは1990年代にロバート・ローターボーンによって提唱されました。1990年代は特に家電などの生産性向上や情報通信関連投資への機運の高まりなど、安定的な経済拡大の時期でした。
企業サイド(プロダクトアウト)から顧客サイド(マーケットイン)に視点を変えることで、顧客が求めるものとの乖離を少なくしようとするのが目的です。以下では4Cの各要素について簡単に解説します。
顧客価値(Customer Value)
顧客価値は4Pで言う「製品」の対にあたる要素です。製品を購入することで得られる利益全般を指します。製品そのものでなくアフターサポートなどを含めた利益を言います。
当たり前ですが顧客は自分が求めるものでないと購入しません。ニーズの範囲やコアとなる部分の分析が求められます。
顧客にとってのコスト(Cost)
コストは4Pで言う「価格」の対にあたり、製品購入に必要なコスト全般を指します。そのため購入費用だけでなく購入するまでの時間や真理負担、移動費用などを含めます。
顧客利便性(Convenience)
利便性は4Pの「場所」にあたります。製品を入手しやすいかを意味します。顧客の問題を解決できる製品であっても購入手段が複雑だと購入しづらいでしょう。顧客が購入に至るまでに必要な情報の入手のしやすさや、買いやすいような導線の設計が求められます。
コミュニケーション(Communication)
コミュニケーションはプロモーションにあたり、コミュニケーション全般を指します。人は自分が知っている企業や製品の中から購入する生き物です。そのため、企業と売り手の間のコミュニケーションも重要な要素のひとつです。顧客が問題を抱えた時に買えるような販売網や問い合わせ体制になっているかなど検討します。
どのようにしてマーケティングミックスを考案するか
マーケティングミックスは顧客と自社製品をつなぐマーケティング戦略です。では一体どのようにしてマーケティングミックスを考案するのでしょうか。「What the Marketing Mix Is and Why It’s Important(英語)」にある質問集をもとに紹介をします。
ターゲット顧客が抱える問題はなにか?
マーケティング界のドラッカーと呼ばれるレビットの格言である「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」に言われるように、顧客は何かを実現するために製品を買います。そのため顧客が抱える問題は何かという根源的な問題を考える必要があります。
その問題を解決するを阻害するものはなにか?
顧客が課題を認識している場合、問題解決するはずです。しかし、なぜその問題は解決されず、問題を抱えたままの状態にあるのかを理解する必要があります。
自社の製品はどのように問題を解決するか?
製品には、顧客問題を解決することで価値がもたらされます。しかし「どのようなプロセスで」や「どれくらいの金額で」といった詳細情報を確定する必要があります。また、問題解決を阻む要因を考慮します。
ターゲット顧客は競合他社と比較して自社をどう思うか?
当たり前ですが顧客はどの製品の購入するかを選択できます。そのため、顧客が競合の製品と比較した際、自社製品がどのようなイメージを抱かれるのかを確認する必要があります。
何がターゲット顧客の購買意欲を高めるのか?
顧客は単にお金を払いたいから製品を購入するわけではありません。顧客の購買決定要因(KBF)や購入単価を上げる方法を模索することで、ビジネスがしやすくなるでしょう。
デジタル時代のマーケティングミックスについて
デジタル時代におけるマーケティングミックスは先述した4P(製品・価格・プロモーション・流通)と異なります。デジタル時代におけるマーケティングミックスは「People(人)」「Purpose(目的)」「Process(プロセス)」「Platform(プラットフォーム)」です。
つまり従来の4Pは各要素をそれぞれ検討することでマーケティングミックスを目指しました。一方、デジタル時代における4Pは一連のフローを指します。そのため人からプラットフォームまでに至る配列が重要です。
これら各要素を理解することで急速に進化するデジタル時代でのビジネスが容易になるでしょう。
デジタル時代のマーケティングミックスにおける問題
急速なIT化などの社会の変化などの影響によって現在、様々なプラットフォームがうまれ多くの人が利用しています。
このデジタル時代におけるマーケティングミックスの問題点は、「どのプラットフォームを利用するか」「そこでどのようなマーケティング戦略するか」といった思考に偏ってしまう点です。これらによりマーケティングミックスを成功させるために必要なキー要素を見落としてしまうことが問題なのです。
人(People)
デジタル時代の4Pを行うためには専門家の存在が欠かせません。自社が目指す方向に近づくために「何を」「どのように」「いつまでに」など、マーケティング戦略から実行・修正まで行える人材が必要不可欠です。
目的(Purpose)
マーケティングは企業経営に欠かせません。しかしマーケティングを行うためではなく、企業が目指すビジョン(パーパス)に近づくために行っています。デジタル時代においても変わらない部分です。
プロセス(Process)
デジタル時代は社会や顧客行動の変化が激しい時代です。このような時代だからこそマーケティング戦略を改善できる体制作りに価値があります。顧客の購買プロセスやマーケティング戦略の効果に応じて修正、実行ができるよう意識しましょう。
プラットフォーム(Platform)
これまでに「人」「目的」「プロセス」を踏まえた上で、どのプラットフォームでどのような戦略を用いて、マーケティングを行うか決定します。このように総合的な観点でプラットフォーム(ツール)を選択でき、デジタル時代におけるマーケティングミックスの問題を解決でき、自社の成功にも近づくことができます。
マーケティングミックスはなぜ重要なのか
マーケティングミックスの重要性は「事業成功の精度」にあります。
顧客は自らが抱える課題を解決するためにお金を払います。マーケティングミックスが確立されることで、早期の顧客基盤の構築による収益が期待できます。
またマーケティングミックス立案や、それまでの過程において「顧客が求めるもの」や「明確な製品コンセプト」などを得られます。一方でマーケティングミックスをなおざりにすると余分な費用を発生させ、ビジネスの成功へ遠回りすることになります。
また現代社会は成熟社会です。製品やサービスは世の中に溢れています。そのため顧客が求める製品や価格、場所、プロモーションを効果的に配置しなければ、製品が他社製品に埋もれる可能性があります。以上の点においてマーケティングミックスは重要なのです。
マーケティングミックスを上手に立案・活用するポイント
マーケティングミックスは上述の通り「ターゲット市場を十分に理解することで、ビジネスにおける失敗を防ぐこと(収益を最大化すること)」が目的です。ここでは実際の企業が用いているマーケティング事例を紹介します。マーケティングミックスの立案のポイントや活用事例などを理解できます。
ライザップ
「結果にコミットする」で有名になったトレーニングジムのライザップですが、その成功の裏に隠されたマーケティングミックスの裏側に迫ってみましょう。
4P | 内容 |
製品 | 引き締まったボディの実現 |
価格 | 高価格であるが返金保証あり |
場所 | 筋肉トレーニングだけでなく食事管理や相談を含めた総合的な場所を提供 |
プロモーション | 結果が分かりやすいテレビCM |
ライザップのマーケティングミックスにおけるもっともユニークな点は製品にあります。競合他社が「体を動かす(鍛える)ことができる価値」を提供していた中で、ライザップは「痩せた(引き締まった)体を手に入れる価値」を提供しました。競合他社が低価格で多くの人がジムを利用し「なかなか痩せない」といった悩み(顧客インサイト)に着目したマーケティング戦略と言えます。
スターバックス
今や誰もが知るスターバックスですが、マーケティングミックスにおいて他の競合店と何が違うのでしょうか。
4P | 内容 |
製品 | 職場や家ではないサードプレイスの提供 |
価格 | 高価格 |
場所 | 都市中心に出店 |
プロモーション | パブリシティやクチコミ |
スターバックスはコーヒーでなく「サードプレイスの提供」を製品においています。また職場と家の往復でストレスの多い都会を中心に出店しています。また広告は積極的に行っておらず「くつろげる特別な空間」と「高価格」がブランドになっています。4Pの各要素においてシナジーが発揮されているマーケティング事例です。
ライフネット生命
インターネットで保険を販売した業界のパイオニアであるライフネット生命は、マーケティングミックスのどのような点において優れていたのでしょうか。
4P | 内容 |
製品 | 生命保険 |
価格 | 低価格 |
場所 | インターネットのみに限定 |
プロモーション | 検索エンジン流入やネット上のクチコミ |
ライフネット生命のマーケティングミックスは場所がユニークです。これまでになかったインターネットでの保険の販売を行うことで、余分な営業コストを減らしています。また削減されたコストは顧客の購入単価に反映され低価格な生命保険を実現しています。既存市場であってもマーケティングミックスに着目することで、競合他社より優位になった事例です。
まとめ
ここまでマーケティングミックスについてご紹介してきました。マーケティングミックスは事業の失敗や成功を大きく左右するマーケティング戦略のひとつです。その立案方法や重要性などについて紹介してきました。
マーケティングミックスを考えるフレームワークの代表例である4Pや4C、サービス産業の特性に合わせた7Pなどのフレームワークがあります。またデジタル時代における成功の鍵となる4Pについてご紹介しました。いずれの方法においても「その目的」「事業戦略とマーケティング戦略の整合性」「各要素間の整合性とシナジー」などに注意して行うことでビジネスの成功に近づけるでしょう。
マーケティングは経済を支える根幹だと確信。
INFOHUBでは主に「マーケティング」を中心に執筆し、マーケティングを使って生活を豊かにする人材を増やすことを目指しています。
大阪経済法科大学→EUで海外インターン→金融機関勤務→事業会社で経営企画→陣之内商店 代表(webコンテンツ製作・小売業)
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