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大切な人がしんどいときは、「対話」「仕組み」「戦略的ご自愛」で共に乗り越える

#ビジネススキル
サイボウズ式
2022/10/19
> パートナーや家族、友人など、自分の身近で大切な人がしんどそうにしていたら──。そのしんどさに寄り添い、「少しでも力になりたい」と考える人が多いと思います。 でも、自分じゃない誰かのしんどさに寄り添うことは、なかなかに難しいこと。下手をすれば、支えているはずの自分自身の方がしんどくなって、共倒れになってしまう可能性も少なくはありません。 大切な人がしんどいとき、そばにいる人ができることは何なのでしょうか? パートナーシップを研究する、株式会社すきだよ代表のあつたゆかさんに、「大切な人がしんどいときの寄り添い方」についてお話していただきました。 しんどいときに求めるものは、人によって違う こんにちは。株式会社すきだよ代表のあつたゆかです。すきだよでは、家族やパートナーシップの社会課題を解決する事業を主に行なっています。 今回のテーマは、「大切な人がしんどいときに、どう寄り添えばいいか?」 うーん、むずかしいですよね。大切な人がそばにいる多くの人が、一度はぶつかる悩みなのではないかなと思います。 まず私が大切にしたいと思っているのは、「しんどいときに求めるものは、人によって違う」という前提に立つことです。 たとえば、しんどいときに話を聞いてほしいと思う人もいれば、ひとりでじっくり考えたい人もいる。話は聞かなくていいから、とにかくストレス発散に付き合ってほしいという人もいるかもしれません。 それまでの人生でできあがった価値観は人によって違うのだから、しんどさへの対処法も人それぞれ違っていてあたりまえ。 だから、「自分がこれをしてもらったらうれしいから」という理由で、その行為を相手に押し付けることはしないようにしています。 「会話」ではなく「対話」が必要 じゃあ、相手の「しんどいときに求めていること」を知るためにはどうすればいいのでしょうか? そのために欠かせないのが「対話」です。 対話とは、おたがいの前提や意見の違いをわかりあおうとする、ふたりのよりよい理想の関係を話し合うためのもの。異なる価値観を理解するために、「おたがいの意見や考え」「それぞれを取り巻く状況や背景」などを共有するのです。 たとえば、パートナーに「しんどいときは、ひとりにしてほしい」と言われた場合。 もしかすると、その事実だけを告げられたら、「なんで頼ってくれないの?」「自分は信頼されていないんじゃないか」「しんどいときに一緒にいられないなんて、パートナー失格だ……」などと落ち込んでしまうかもしれません。 でも、「どうしてしんどいときにひとりでいたいのか」まで話し合うことができたなら、その感情は変わってくると思いませんか? もしかしたらその人には、「人と一緒にいると、必要以上に気を遣ってしまって疲れてしまう」といった、何か理由があるのかもしれません。 「なぜそうしてほしいと思うのか」という背景まで話し合うことができると、おたがいにモヤモヤせずに支え合えると思うのです。 健全な対話は「仕組み」でつくる とはいえ、対話にはむずかしい部分もあります。 対話しようと思っても、ついつい「しんどいときはもっと頼ってよ!」といった、要求を一方的に押し付ける「命令」や、二項対立で意見を戦わせる「討論」になってしまいがち。 「そもそも深刻な話し合いが苦手」という人や、「話し合おうとしても、相手がその気になってくれない」という場合もあると思います。 そんなときには、おたがいにとって「話しやすい環境」はどんな環境かを知り、そのための仕組みをつくることが必要です。 たとえば私の知り合いの夫婦は、家で話し合いをすると深刻な雰囲気になって喧嘩になりやすいから、居酒屋などで飲みながら話すようになって、うまく対話ができるようになったと言います。スキンシップしながら話し合うことで、うまくいったというカップルも。 ツールを取り入れることもおすすめです。Slackなどで、自分が感じていることを気軽に共有できる場所をつくってみる。口頭がむずかしければ、文章で伝え合うのもいいと思います。 場所を変えてみる、ツールを導入する。建設的な対話をするために、まずは自分たちが話しやすい「仕組み」を整えてみましょう。 「寄り添い方」が噛み合わないときもある しんどいときにどうしてほしいのか、なぜそうしてほしいのかを、しっかりと話し合うこと。 ですが、話し合った上でも、「相手が望むことを叶えられない」ときはあると思います。 そんなときに大切にしたいのは、もしおたがいの「しんどさへの寄り添い方」が噛み合わなかったとしても、「相手を大切に思っている」という前提の気持ちを共有することです。 たとえば、しんどくて話を聞いてほしい相手に対して、自分が忙しくて話を聞く余裕がないときには、「話を聞いて支えたい気持ちはあるんだけど、今自分も精神的に余裕がなくていっぱいいっぱいだから、今度の週末にゆっくり時間をとるのはどうかな?」と正直に伝えてみる。その一言があるだけで、ふたりの関係は変わると思います。 相手の気持ちを尊重しながら、自分のことも尊重する。そのことが、しんどさを乗り越えるふたりには必要なのです。 どちらか一方がしんどい時は、支える側が「支えなきゃ!」と思って逆にしんどくなり、共倒れしてしまうことがありますが、支える側も自分を大事にすることは欠かせません。 共倒れしないために、「戦略的ご自愛」を 最後に私がおすすめしたいのが、「戦略的ご自愛」です。 仕事や生活の中で、忙しくて余裕がなくなってしまうと、そもそも話し合いの気力がなくなったり、他者を気遣う余裕がなくなってしまいます。 だから、自分のHPがゼロになってしまう前に、自分の状態に気づき、意識的に休みを取ることを心がけましょう。 私も、朝に散歩をしたり、マッサージに行ったり、ゆっくりとお風呂に浸かったりと、自分にとっての「戦略的ご自愛」リストを持っています。こまめにHPを回復することで、パートナーにも向き合えるし、自分も健康的でいられます。 おたがいのことを尊重して支え合うために、仕組みや環境づくりをして対話をする。そして、相手のことも自分自身のことも大切にする。 言葉にすると簡単なように聞こえますが、これは本当に本当にむずかしいこと。 対話を重ね、相手のことを知り、自分のことも守りながら、おたがいのしんどさに寄り添って生きていける関係性が増えることを願っています。 企画/構成:あかしゆか、イラスト:イタガキユウスケ 2020年7月29日心が疲れているときは「コミュニケーションコストが低い人」との1:1の関係性に立ち戻ろう──犬山紙子×Dr.ゆうすけ 2020年12月10日「パートナーが変わる」期待を手放そう。仕事も育児もがんばりすぎて疲弊していた、あの頃の自分へ 2018年11月27日「夫婦だから」とすべて共有しなくていい。大事なのは、ひとつの強い関係よりたくさんの弱い関係──佐々木俊尚・松尾たいこ サイボウズ式特集「ひとりじゃ、そりゃしんどいわ」 「仕事がしんどい」。誰しもそんなとき、ありますよね。働く限りずっとそばにある仕事のしんどさと、うまく付き合っていく方法はないのだろうか──? 2022年で10年目を迎えたサイボウズ式が伝えたいのは、「チームの心理的安全性」。この特集では、働くみなさんの「しんどい」に目を向け、マイナスな気持ちがゼロに近づくような企画をお届けします。特集ページを見る